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「膝に水が溜まる」って?

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膝に水が溜まるという表現を聞いたことがある人は多いと思います。この時の水という表現をされている正式な名前は、関節液になります。
関節液は、膝の動きをスムーズにし、軟骨にしっかりと栄養をもたらしていくために必要なものであり、誰にでも、関節液は存在していることになるのです。
ですが、なぜ、この関節液が、水が溜まるという表現で、異常な状態と受け取られるようになってしまうのかを説明します。

関節液は関節の動きをスムーズにする、関節に影響を運んでいくということだけではなく、関節の中に入ってきた異物を排除する機能も持っていることになります。
関節液の中には、酵素が含まれており、その酵素の力によって、大きな異物は溶かすことができるのです。
当然異物の量が多くなれば、関節液も多くなっていきます。
つまり膝に水が溜まるというのは、関節の中に異物が存在し、それを排除しようと関節液が多くなった結果になります。

変形性膝関節症などであると、この膝に水が溜まりやすいことになります。
この理由はいくつかありますが、ひとつが炎症を起しているということが挙げられます。
炎症によっても、関節液というのは溜まっていくことになります。
変形性膝関節症の場合、骨同士がこすれてしまうことで生じる、骨のかけらが大きく影響していることもあるのです。骨のかけらが関節内に生じてくることで、関節液が多くなっていくということです。

関節液が膝に多く溜まっているということは、膝で異常が起こっている証拠になります。痛みなどが出てきている、出てきていないに関わらず、専門の医師に診てもらう必要があります。適切な治療をしていくことで、しっかりと治療のほうは進めていくことが可能です。下手に放置してしまうことはせず、専門的な治療を受け、早めに対処しておけば、変形性膝関節症の治療にも繋げていけるでしょう。

膝への負担が大きい運動や、成長期、あるいは膝の大きな怪我をしたことがある人であると、膝の内部に異常が起こりやすい環境が整ってしまい、水が溜まってしまうこともあります。水が溜まってしまうのは、変形性膝関節症だけではないので、異常を感じたら、とりあえず、医師に診てもらうことをおすすめします。個人で対処をしていくことで、一時的に症状が良くなる可能性もあるとは言えます。しかし、根本的な原因を排除していかないと、再度水が溜まってしまうことになるので注意が必要です。

 

膝がパキパキ鳴るのは?

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膝を動かしていく時に、膝からパキパキ音がするなんて経験をしたことがある人は多くいると思います。
このパキパキとなる原因には2つあり、簡単に言ってしまうと、

・気泡が始めることによる音
・骨の変形などによる音

ということになります。
健康的な人の体で、パキパキなるような場合は、大抵気泡による音になります。
気泡による音というのはどのようなことかよくわからない人もいることでしょう。

関節には、骨と軟骨、そして関節に栄養を与える役割をもつ関節液があります。関節液は関節の動きをスムーズにする役割も持っているため、非常に重要な液体になります。
気泡によるパキパキという音は、この関節液が大きく関わっています。
膝を急に伸ばしたり、曲げたりすると、それによって膝の内部の気圧が変化し、それによって関節の中に気泡が発生します。
気泡であるため、それがずっと存在することはなく、すぐにはじけていきます。
この時にパキパキという音がするのです。

これ自体は大きな問題は無く、たまに音がなく、痛みはないということであれば、大きく気にする必要はないでしょう。

しかし骨の変形などによるパキパキという音は、注意が必要です。この場合、骨の変形などが影響しています。骨同士がこすれたり、引っかかったりすることで音が鳴るようになるので、音が発生するたびに骨が削れていく、傷ついてしまうことになります。
また、軟骨などが磨り減っている可能性が高く、次第に痛みが出てきたりすることも多くあります。

この状態を長く続けてしまうと、膝の関節の変形につながってしまうこともあります。
また逆に変形性膝関節症によって、骨同士によるパキパキという音が鳴り始める場合もあります。

気泡による音とは違い、しっかりとした治療、適切な対処が必要になります。

音が鳴るかどうかというのは、そこまで大きな問題ではありませんが、やはり痛みがあるかどうかというのは重要なポイントになります。

健康な人でも膝を動かす機会が少ない、運動する機会が少ないと、筋力が落ちてしまうだけでなく、関節に栄養分を効率よく運ぶことができなくなってしまいます。
そうすると、膝に違和感を覚えるようになったり、痛みが出てきてしまうこともあるので注意が必要です。
膝の音を気にしすぎて、膝を動かす機会が少なくなってしまわないように注意が必要です。
ただ、骨同士によるパキパキという音が鳴ってしまう場合には、医師の指示にしたがった膝の運動が必要です。

変形性膝関節症と骨粗鬆症の関連性について

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私たちの骨は、カルシウムからできています。

もし何かしらの原因によってカルシウムが溶け出せば、骨量が減少(骨密度)します。

そして骨密度が減少し続ければ、ちょっとした事故で骨が折れてしまうことも考えられます。

そうした危険性を含んだ疾病を「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」といいます。
(※骨粗鬆症の骨をレントゲンで撮影すれば、骨内部の網目構造がスカスカになっていることがわかります。)

そこで気になるのが、変形性膝関節症と骨粗鬆症の関連性です。

一見すると変形性膝関節症と骨粗鬆症は関連性があるように思いますが…実はまったくありません。

何故なら…
骨粗鬆症は骨密度が減少する疾病ですが、変形性膝関節症は骨密度が増加する疾病だからです。
(※変形性膝関節症の場合、関節軟骨がすり減ればすり減るほど骨を補充しようとして、局所的に骨密度が増加します。)

それ故、普通は変形性膝関節症と骨粗鬆症が同時に発症することはありえないのです。

しかし非常に稀ですが、変形性膝関節症と骨粗鬆症を同時に発症する可能性もあります。

骨粗鬆症を発症すれば、関節軟骨下骨の骨密度も減少→それによって関節軟骨が損傷し、変形性膝関節症を併発する可能性があるからです。

化膿性関節炎について

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変形性膝関節症は膝の軟骨がすり減る/ひび割れてしまった結果、炎症を発症→痛みを引き起こします。

しかし膝が炎症を発症する場合、関節軟骨に関係なく引き起こされることもあります。

例えば身体のどこかに細菌を発症する感染源があった場合、それによって化膿した細菌が血液によって運ばれ関節内に侵入→関節が腫れるばかりでなく、高熱と激痛を伴う疾病があるのです。

それを「化膿性関節炎」といいます。

また化膿性関節炎の場合、関節注射をすることによって発症する可能性もあります。

それ故関節注射をする際、針に細菌が付着していないか等々をチェック…そして関節注射をした当日は、なるべく入浴を控えるようにしなければなりません。

ちなみに関節注射する場合、薬剤以外にヒアルロン酸を注入する場合もあります。

何故なら、ヒアルロン酸には炎症を抑制する効果があるからです。
(※またヒアルロン酸はもともと関節内にある成分なので、注入したからといって副作用を発症することもありません。)

化膿性関節炎は変形性膝関節症の症状と間違われやすのですが、化膿性関節炎→関節内の炎症/変形性膝関節症→関節軟骨の損傷と原因が異なります。

どちらにせよ、関節が急に熱を持つ/激痛を発症するようであれば、すぐに整形外科で受診してもらう必要があります。

関節水症について

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膝関節に伴う疾病は、変形性膝関節症以外にも様々なものがあります。

そして、そうした疾病の1つに関節水症(=関節水腫)があります。

みなさんの中にも、こういう経験をされている方は案外多いのではないでしょうか。
「膝に水が溜まる」…この症状こそ、関節水症なのです。

しかし何が原因で、膝に水が溜まってしまうのでしょうか。

実は関節の内側には、滑膜と呼ばれる膜があります。

その滑膜が何かしらの刺激を受けることによって、多量の関節液を膝内部で排出→それによって、痛み/熱感といった炎症を発症するのです。
(※通常、膝を酷使する運動をすることによって関節水症が発症します。)

そして関節水症を発症した場合の治療法として、注射器で関節液を抜き取らなければなりません。

この治療法を、関節穿刺といいます。

ただし膝内部に溜まった関節液が少量であれば、炎症の治癒を待って自然吸収されるのを待ちます。
(※ちなみに、関節液を抜き取れば完治するわけではありません。事実、何度も関節穿刺をする場合もあります。)

また関節穿刺をする際、注射器に付着している細菌などに注意する必要があります。

何故なら注射器に細菌が付着していた場合、関節内に細菌が侵入→化膿性関節炎を発症する恐れもあるからです。

関節疲労によって発症する病気

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私たちの体重を支えている膝関節には、想像以上の負荷が掛かっています。そして知らず知らずのうち、膝関節を酷使…関節疲労によって、様々な病気を発症する場合もあります。ここでは、関節疲労によって発症する病気について触れてみます。

○靭帯の損傷…
膝は4種類の靭帯によって、様々な動きをすることができます…膝の内側と外側にある内側側副靭帯/外側側副靭帯(左右の動きを安定させます)・大腿骨と脛骨をつなぐ前十字靭帯/後十字靭帯(前後の動きを安定させます)。靭帯損傷の場合、一部が損傷する軽度な症状から完全断裂する重度の症状まであります。そして、最も損傷を受けやすいのが内側側副靭帯/外側側副靭帯です。側副靭帯の場合、手術をすることなく完治します。しかし前十字靭帯/後十字靭帯の場合、手術をしなければ完治しません。特に前十字靭帯はしっかり治療しなければ、日常生活に支障をきたす場合もあります(歩行中、急に膝が崩れる等々…)。また靭帯損傷の誘因によって、変形性膝関節症を発症することもあります(=靭帯損傷によって、関節軟骨により負荷が掛かるため)。

○半月板損傷…
膝の損傷で、最も多い症状が半月板損傷です。半月板損傷は、関節疲労が蓄積している時に膝に大きな圧力が加わることで発症します。例えば急にジャンプする(着地する)・運動中、急にストップする(踏ん張る)・しゃがみながら、身体をひねる等々…。そして、その症状は急に膝の力が抜けて、膝から崩れ落ちたりします。半月板損傷の治療法は、半月板が損傷した部分を縫い合わせる・部分切除などが行われます。また半月板は関節軟骨とともに、私たちの体重を支えています(=負担)。半月板を損傷することで、変形性膝関節症を引き起こす可能性があります。

○関節軟骨損傷と関節ねずみ…
膝の一部分に繰り返し圧力が加わると、関節軟骨の一部が剥がれてしまい関節内を動き回ることがあります(=関節ねずみ・関節遊離体)。このように、関節軟骨が損傷する症状を関節軟骨損傷(=骨軟骨骨折)といいます。関節ねずみが発症すると膝が膨れあがり、膝に体重を掛けようとすると激痛をともないます。そして関節ねずみは膝関節内部を自由に動き回るため、激痛で膝を動かすことさえできなくなる場合もあります(もちろん、手術ですぐに切除しなければなりません)。また関節軟骨損傷をすることによって、関節軟骨損傷部分に再度傷が広がりやすくなります。そのため、変形性膝関節症を発症する可能性が高くなります。

このように蓄積した関節疲労によって、私たちの膝はちょっとした拍子に上記の症状を発症してしまいます。膝がだるく感じれば、マッサージなどでほぐす…スポーツをする時、入念にストレッチを行う…そうすることで、関節疲労によって発症する病気を抑えることができるのです。

偽痛風

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変形性膝関節症のように膝に痛みを発症するという点で、同じ症状を持っている偽痛風という疾病があります(しかし実際は、まったく異なる疾病です)。
変形性膝関節症は徐々に膝の痛みが悪化しますが、偽痛風は急に激しい痛みに襲われます。
偽痛風という病名は、痛風に発症の仕方が良く似ていることから名付けられました。
(急に痛みに襲われ、鎮痛解熱剤を服用すれば7~10日で症状は回復します。)
偽痛風は、一体どのような状態になると発症するのでしょうか。
偽痛風=別名:関節軟骨石灰化症/ピロリン酸カルシウム沈着症とも呼ばれています。変形性膝関節症と同じように、ご高齢の方に多く発症する傾向にあります。
また偽痛風が、変形性膝関節症や慢性関節リウマチと勘違いされる場合があります。その原因として、膝・足首・肩といった大きな関節に激しい痛みを発症するからです。
(実際、変形性膝関節症・慢性関節リウマチの処方薬:ステロイド剤を服用しても、痛みが治まることはありません。)

また偽痛風と診断を受けた人の特徴として、下記の疾病を患った経験のある人が多いと言われています。
[変形性膝関節症・痛風・高尿酸血症・糖尿病・高血圧]…つまり、このような疾病が誘因となって、偽痛風が発症することもあるのです。
次に、偽痛風の痛みの原因を探ってみます。痛みの原因=それは、ピロリン酸という物質がカルシウムと結合してできる結晶にあります。本来、ピロリン酸は身体が新陳代謝をする過程で作られます。そして、通常は肝臓で分解されます。しかし高齢になると、肝臓の機能が低下→ピロリン酸が分解しきれず血液中に残る→血液中のカルシウムと結合することで、結晶が作られます。そして、できた結晶が関節軟骨・半月板・滑膜に沈着することで、一過性の激しい関節炎症を引き起こしてしまうのです。

偽痛風のもっとも厄介な症状…それは、関節の変形する確立が非常に高いことにあります(変形性膝関節症・慢性完成リウマチより高い)。さらに、偽痛風を発症した膝をかばうあまり、もう片方の膝に負荷が掛かり…結果的に、両膝が偽痛風を発症する可能性もあるのです。
もちろん、偽痛風=防ぎようのない疾病というわけではありません。
病院で定期健診を受診する→早期発見が可能…そして初期症状であれば、投薬治療で完治させることもできます。
もし自分自身が偽痛風誘因のある疾病を持っているならば…少しでも不安をよぎったら…とにかく、早めの診察を受けるべきです。

慢性関節リウマチ

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変形性膝関節症は、膝関節の異常によって痛みを発症する疾病です。確かに変形性膝関節症も重篤な状態になれば、歩行困難など日常生活に支障をきたします。
しかし変形性膝関節症のように膝関節の痛みのみならず、全身の関節が痛む・変形する疾病があります。その疾病こそ、慢性関節リウマチなのです。

慢性関節リウマチの初期症状は変形性膝関節症と同じように、「関節にこわばり感があり、動かしにくい」「微熱・倦怠感が続く」状態から始まります。
しかし、膝関節から痛みを発症することはありません。初めに痛みを発症する部位として…手の指・手首・肘等々、上半身の比較的小さな関節から起こります。
慢性関節リウマチが進行すると、至る所に存在する全身の関節が痛みだし、関節が変形していきます(多発性の慢性関節炎・左右対称に発症します)。

また変形性膝関節症は、ご高齢の方に発症しやすい傾向にあります。慢性関節リウマチの場合、思春期~閉経前後まで、幅広い女性層に発症する傾向にあります。
そして変形性膝関節症の原因は、関節軟骨の擦り減りによるものとされていますが…実は慢性関節リウマチは、はっきりした原因がまだわかっていないのです。
(一種の自己免疫疾患・ストレス・女性ホルモン分泌の影響が関係していると考えられています。)

さらに慢性関節リウマチの病状進行は、人によって違います…(知らない間に軽減する人・進行も早く慢性化する人)…
もちろん慢性関節リウマチの進行を食い止めるには、早期発見・早期治療が重要です。
ここで慢性関節リウマチの診断基準チェックポイントを明記します。1つでも症状があれば、慢性関節リウマチの疑いがあります。

○朝起きた時、手足の関節が妙に動かしにくい。
○手の指・手首の関節が、腫れている。
○全身で3ヵ所以上、関節が腫れている
○左右対称に腫れている関節がある。
○膝・肘にコブ状の腫れものがある(熱を持っている)。
○血液検査でリウマトイド因子陽性という結果が出てしまった。
○レントゲン写真で、関節の変化(変形)が見られる。
(リウマトイド因子陽性…免疫グロブリン(タンパク質)に対する自己抗体…慢性関節リウマチの75~90%の患者様から検出されています)

慢性関節リウマチが末期症状になると→全身の関節が侵される(変形する)→まったく身動きできなくなる状態になる場合も…そのためには、関節の症状を見逃すことは元より、定期的に診察(診断)を受診することが大切です。
また慢性関節リウマチの症状として、「良くなる→悪くなる→(繰り返し)」…結果として、ゆっくりと悪化していくこともわかっています。それ故、患者様の精神的要因も大きく関わってきます。患者様を支えるという意味においても、ご家族の慢性関節リウマチに対する理解も重要視されます。