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変形性膝関節症の進行具合

「変形性膝関節症の症状・診断・検査」では大まかに病期を3段階に分類し、その症状を明記しました。ここではその病期について、より詳細に触れてみます。

変形性膝関節症の病名に、「変形性」という言葉が入っています。これは膝関節・それに付随する骨が、次第に変形していくことから名付けられましたものです(変形→症状悪化)。
もともと関節軟骨は、弾力性・柔軟性・外部圧力を吸収/分散する能力に優れています。しかし大きな外部圧力が何度となく繰り返されることによって、関節軟骨の表面に小さな傷(劣化現象)がつきます(=軟骨変性)。当然、軟骨変性が進行すれば、次第に弾力性・柔軟性が失われてきます。
この時期を「変形性膝関節症の前期」といいます。
また前期の変形性膝関節症をX腺写真で撮影しても、何も変化らしい変化を見ることはできません。

そして表面に傷がついた関節軟骨に、更に外部圧力が加われば…関節軟骨内を網状に取り囲んでいるコラーゲン線維・プロテオグリカンが失われて…少しずつですが、関節軟骨自体が擦り減ってきます。
この時期を「変形性膝関節症の初期症状」といいます。
軟骨変性→関節軟骨の擦り減り→関節軟骨の弾力性・柔軟性が失われていくと、ある1ヵ所に負荷が集中します(=軟骨下骨)。そして、軟骨下骨は厚く/硬くなっていきます(=骨硬化)。
このような状態(骨硬化)になると、X腺写真でも白い状態になっていることがわかります。
初期症状で、膝関節に痛みを感じ…しかし、放っておくと…関節軟骨の裂隙はますます狭くなります(「変形性膝関節症の進行症状」)。
こうなると、骨の変形も進行しています。実際、X腺写真を撮ってみると、はっきりと変形性膝関節症の様相を見せるようになります。
先ほど「骨の変形」と言いましたが…特に膝の場合、個人の癖がでます。つまり偏った負荷が掛かることで、骨や関節が変形してしまうのです。
(例えば膝の場合、負荷が膝の内側に集中する傾向があるため、内側の関節軟骨だけが擦り減ってしまいます。)
[…一度変形してしまった関節軟骨を、元に戻すことはできないのです。]

そして…関節軟骨は完全に擦り減ってしまい、軟骨下骨が露出した格好になります。
この時期を「変形性膝関節症の末期症状」といいます。
露出した軟骨下骨はさらに硬くなり…表面は摩擦で磨いたようになります(=象牙質化)。
この状態でX腺写真を撮ると、膝関節の形状がまったく違った形状に見えます。もちろん、膝の痛さも尋常ではありません。少しでも膝を動かそうものなら、激痛に襲われます。
こうして変形性膝関節症を、「初期~末期症状」まで詳しく触れてみました。
私たち日本人は、得てして痛みを我慢する人種です(決して美徳ではありません)。痛みを我慢し続けた結果が、「動かすこともままならぬ膝」になってしまうことを、しっかり脳裏に焼き付けておくべきです。