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変形性膝関節症と軟骨の関連性

高齢になると、大半の人が変形性膝関節症を患っているといわれています。そして、変形性膝関節症と最も重要な関連性を持っている組織が関節軟骨です。
関節軟骨の特性は、「柔軟性+弾力性+滑らかさ」を持っていることです。そうした特性がある故、膝関節のスムーズな動きを支えることができるのです。
しかし老化現象や過激な運動を続ければ、誰でも否応なしに関節軟骨の消耗が進みます。そして関節軟骨の消耗が酷くなると、骨と骨が直接擦れてしまい、歩くだけでも強い痛みを感じることに…。
つまり変形性膝関節症は、関節軟骨がクッション変わりならなくなった時に発症する症状なのです。

また患者様の中には、変形性膝関節症を勘違いされている場合もあります。
「軟骨が突出したから、膝が痛みだし変形してしまった。」と…(関節軟骨が擦り減ることで、変形性膝関節症は発症します。関節軟骨が突出することはありません)。
「軟骨が擦り減ったので、鶏の軟骨・コラーゲンを摂取して軟骨を再生させる。」と…(サプリメントや薬を飲んでも、関節軟骨は再生しません)。
特に忘れてならないこと=軟骨は、修復することができません。
例えば関節軟骨に血管が通っていれば、血液中から栄養分を取り込むことで修復は可能です。しかし、関節軟骨に血管は通っていません。
軽度の摩耗であれば、完全修復することもできると思います。しかし重篤な場合であれば、十分に修復することはできません。
上記のことを含め、私たちは関節軟骨の構造・役割を正しく理解しなければなりません。そうすることで、変形性膝関節症とも正しく向き合うことができるからです。

○軟骨には、3つの種類から成り立っている…
軟骨には、関節軟骨を組織する硝子様軟骨(しょうしようなんこつ)・半月板などを組織する線維性軟骨・耳などを組織する弾性軟骨があります。
最も強固な軟骨=硝子様軟骨・最も弾力性のある軟骨=弾性軟骨・線維成分が重なってできた軟骨=線維性軟骨…
もし関節軟骨が擦り減ってしまった場合、線維性軟骨で修復することができます(ただし、強度は硝子様軟骨より弱くなります)。

○関節軟骨の仕組み…
関節軟骨は、硝子様軟骨からできています(半月板より少し硬く、表面が滑らかな軟骨)。
また関節軟骨の骨組みは、コラーゲン線維とプロテオグリカンが絡み合いながら軟骨細胞を取り囲んでいます。
(プロテオグリカン=水分と結合しやすい性質があり、関節液に含まれる水分・栄養分を軟骨に供給します。)
このような仕組みからわかるように、関節軟骨=吸水性に富んだスポンジだといえます。膝関節には、絶えず様々な圧力が加わっています。その圧力を和らげることができるからこそ、歩行運動・膝の屈伸・階段の昇降などがスムーズにできるのです。