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変形性膝関節症の症状・診断・検査

変形性膝関節症を理解しよう No Comments

多くの日本人の脚の特徴として、膝関節が内側に変形している傾向にあります(=O脚)。そうした変形によって、膝に痛みをともなう症状を変形性膝関節症といいます。
では日本人に多く見られる変形性膝関節症は、どのような症状を引き起こすのでしょうか。ここでは、病期を分けて明記してみます。

○初期症状…
歩き始めた瞬間・立ち上がりかけた瞬間など、動作を開始したときにチクッとした痛みを発症します。

○進行症状…
病期が進行するに従って、動作中に痛みを発症するようになります(階段の昇降はもとより、歩く・正座やあぐらをかくだけでも痛みを発症することに…)。


○末期症状…
末期症状になると、変形性膝関節症による合併症を引き起こします。膝関節の内側には、薄い膜が張られています(=滑膜(かつまく))。この滑膜に炎症が起こり(滑膜炎)、膝関節に水が溜まってしまうのです(=関節水腫)。関節水腫を発症すると膝が腫れて、膝内部からの圧迫感を受け痛みをともないます。同時に関節水腫の影響によって、関節軟骨や半月板の変形・摩擦が酷くなり、少し膝関節を動かすだけでも激しい痛みを発症するようになります。
このように変形性膝関節症はちょっとした痛みを我慢し続けることによって、歩行困難になるほどの重篤な症状を発症する可能性もあるのです。
そのような後期症状にならないためにも、変形性膝関節症による早めの診断・検査が必要になってきます。
変形性膝関節症を診断・検査する場合、X腺写真が判断材料として使用されます。何故なら、膝関節は非常に皮膚から近いこともあり、痛みを発症している部分・変形している部分がX腺写真でよくわかるからです。
実際、X腺写真を使用することで、「関節軟骨がどの程度、擦り減っているのか」「関節の隙間が、どれくらい狭まっているのか」「膝関節部分の骨の損傷程度」等々、膝関節内部の様々な症状を把握することができます。
しかし、X腺写真ですべての症状がわかるわけではありません。例えば変形性膝関節症の圧迫による痛みの場合、視診・触診をすることで「両脚の長さの違い・膝関節を動かしたときの痛み・膝の可動域」等々をチェックすることで、診断を下します。
さらに変形性膝関節症を詳しく診断・検査する場合、CT・MRI検査を行います。
どんな病気にも言えることです…「早期発見・早期治療」こそが、病気を治す秘訣です。

変形性膝関節症を発症する原因(悪化要因を考える)

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変形性膝関節症は膝関節に掛かる負荷で、関節軟骨が破壊されることで発症する症状です。しかし、「何故、関節軟骨が破壊されてしまうのか?」という原因は、未だ明確にわかっていません。
もちろん長年に及ぶ疲労蓄積など、徐々に関節軟骨の疲労が進行することで破壊されることは推測できます。
そうした変形性膝関節症を発症する原因を考えた時、ある要因を2つに分類することができます。

~一次性変形性膝関節症・二次性変形性膝関節症~

●一次性変形性膝関節症の原因…
(まったく外傷も見られず、明確な原因もわからないまま膝に痛みを発症する)

一次性変形性膝関節症の原因として、主に4つの要因が考えられます。

(1)老化現象…高齢者の患者様が多いことから、老化現象に関連性があるといわれています。確かに加齢とともに、関節軟骨の新陳代謝は衰えてきます(摩擦→擦り減る)。しかし関節軟骨の損傷を調べてみると、「どうもそうではない」という説も…(何故なら、関節軟骨の損傷は老化ではなく、金属疲労のようなものだから)。いずれにしても適切な膝の使い方をすることが、膝の障害を防ぐことができます。

(2)肥満…歩行時、膝には「体重の3倍」の負荷が掛かっているといわれています。つまり体重が1kg増量→膝に3kgの負荷がかかることに…それが肥満=変形性膝関節症に関連性があるいわれる要因です。

(3)O脚・X脚…O脚・X脚になると、膝に均等な負荷が掛からなくなります。外側だけに(内側だけに)負荷が掛かる→関節軟骨がすり減る=実際、O脚・X脚の人に変形性膝関節症を発症している方が、多く見受けられます。

(4)筋力低下…加齢によって、下半身の筋力(脚腰)も確実に衰えてきます。特に太腿の筋肉は、膝の動きをコントロールします。つまり太腿の筋肉が弱くなると、膝関節への負荷が大きくなります(関節軟骨の劣化→変形性膝関節症)。

●二次性変形性膝関節症の原因…
(スポーツ・事故などで膝を怪我したことで、変形性膝関節症を発症する)

二次性変形性膝関節症の場合、様々な怪我の要因が考えられます。

(1)半月板損傷…膝関節のクッションの役割を果たしている半月板が損傷した場合、手術をしても完全に回復することはありません。そのため関節軟骨への負荷が大きくなり、変形性膝関節症を発症する可能性も…

(2)関節軟骨損傷/関節ねずみ…過度の外力が加わることで、関節軟骨(骨の一部)が剥がれることもあります。この症状を関節軟骨損傷といいます。そして剥がれた傷が、関節内で動きまわる症状を関節ねずみといいます(この症状が悪化することで、変形性膝関節症を発症する可能性が…)

(3)膝蓋骨脱臼…スポーツをしていて、不意に膝のお皿が外れてしまう症状を膝蓋骨脱臼といいます。膝蓋骨脱臼を完治させていなければ、膝関節のバランスが取れなくなり、変形性膝関節症を引き起こす場合があります。

このように変形性膝関節症は、様々な要因が絡み合って発症する病状なのです。

変形性膝関節症と軟骨の関連性

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高齢になると、大半の人が変形性膝関節症を患っているといわれています。そして、変形性膝関節症と最も重要な関連性を持っている組織が関節軟骨です。
関節軟骨の特性は、「柔軟性+弾力性+滑らかさ」を持っていることです。そうした特性がある故、膝関節のスムーズな動きを支えることができるのです。
しかし老化現象や過激な運動を続ければ、誰でも否応なしに関節軟骨の消耗が進みます。そして関節軟骨の消耗が酷くなると、骨と骨が直接擦れてしまい、歩くだけでも強い痛みを感じることに…。
つまり変形性膝関節症は、関節軟骨がクッション変わりならなくなった時に発症する症状なのです。

また患者様の中には、変形性膝関節症を勘違いされている場合もあります。
「軟骨が突出したから、膝が痛みだし変形してしまった。」と…(関節軟骨が擦り減ることで、変形性膝関節症は発症します。関節軟骨が突出することはありません)。
「軟骨が擦り減ったので、鶏の軟骨・コラーゲンを摂取して軟骨を再生させる。」と…(サプリメントや薬を飲んでも、関節軟骨は再生しません)。
特に忘れてならないこと=軟骨は、修復することができません。
例えば関節軟骨に血管が通っていれば、血液中から栄養分を取り込むことで修復は可能です。しかし、関節軟骨に血管は通っていません。
軽度の摩耗であれば、完全修復することもできると思います。しかし重篤な場合であれば、十分に修復することはできません。
上記のことを含め、私たちは関節軟骨の構造・役割を正しく理解しなければなりません。そうすることで、変形性膝関節症とも正しく向き合うことができるからです。

○軟骨には、3つの種類から成り立っている…
軟骨には、関節軟骨を組織する硝子様軟骨(しょうしようなんこつ)・半月板などを組織する線維性軟骨・耳などを組織する弾性軟骨があります。
最も強固な軟骨=硝子様軟骨・最も弾力性のある軟骨=弾性軟骨・線維成分が重なってできた軟骨=線維性軟骨…
もし関節軟骨が擦り減ってしまった場合、線維性軟骨で修復することができます(ただし、強度は硝子様軟骨より弱くなります)。

○関節軟骨の仕組み…
関節軟骨は、硝子様軟骨からできています(半月板より少し硬く、表面が滑らかな軟骨)。
また関節軟骨の骨組みは、コラーゲン線維とプロテオグリカンが絡み合いながら軟骨細胞を取り囲んでいます。
(プロテオグリカン=水分と結合しやすい性質があり、関節液に含まれる水分・栄養分を軟骨に供給します。)
このような仕組みからわかるように、関節軟骨=吸水性に富んだスポンジだといえます。膝関節には、絶えず様々な圧力が加わっています。その圧力を和らげることができるからこそ、歩行運動・膝の屈伸・階段の昇降などがスムーズにできるのです。

変形性膝関節症とは

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膝は人間の身体の構造を考えた時、常に強い負荷を掛けられた状態にあります。それ故、膝は骨・靭帯等々といった様々な部位で構成されています。
そして強い負荷を掛けられる膝は、様々な病気を発症します。その中で特に、発症が増えている病気があります。それが変形性膝関節症です。
あまり馴染みのない病名=変形性膝関節症は、どのような病気なのでしょうか。
膝の関節は、膝の上にある大腿骨と膝の下にある脛骨(けいこつ)の接する部分をいいます。
そして大腿骨の前面には、膝蓋骨(しつがいこつ=別名:膝のお皿)あり、脛骨の外側には腓骨(ひこつ)があります。
[腓骨=脛骨と対になって存在する下腿の骨をいいます。]

大腿骨と脛骨は、お互いに硬い骨です。この骨が直接ぶつかってしまえば…もちろん、人間の身体を支えることは出来なくなります。
そうならないために、大腿骨と脛骨の間は関節軟骨に覆われているのです。
[関節軟骨=身体を自由自在に屈伸できるように、骨と骨を覆っている滑らかで弾力のある組織。]

変形性膝関節症とは、この関節軟骨が擦り減ってしまい痛みを発症する病気なのです。
ここで、私たちの身体を支えてくれる関節軟骨について、詳しく触れてみたいと思います。
確かに関節軟骨は人間の基幹部分になっていますが、関節軟骨を支えるべく組織があるからこそスムーズに動いているのです。
例えば関節包(かんせつほう)…関節包は、大腿骨と脛骨の断端を包み込んでいる袋です。そして関節包の内側には、滑膜から分泌されている関節液で、いつも満たされています。
実はこの関節液、容量わずか数ccしかないのですが、関節の動きを補助する潤滑油の役目を担っています。
[しかも、関節軟骨に栄養分を与える役割もあります。]

更に、関節包にはある軟骨も付着しています。それは半月板です。
よくスポーツ選手の事故で、「半月板損傷」という言葉を聞くと思います。この半月板も関節軟骨と同じように、膝に掛かる衝撃を吸収するクッションの役割を果たしているます。
そして最後にもう1つ、膝を支える大きな役割を担った組織があります。
それが、大腿骨と脛骨をしっかり繋ぎとめている靭帯群です(=膝の動きを制御している)。靭帯は、いうなれば強靭な繊維の束から構成されています。
[靭帯=前十字靭帯・後十字靭帯・関節包の外側にある外側側副靭帯/内側側副靭帯]
もしこの靭帯が事故によって切断されてしまうと、膝がグラグラ不安定な状態になってしまいます。
このように身体を一身に支える膝は、関節軟骨・関節包・関節液・半月板・靭帯がお互いに支え合うことで、私たちの膝を守ってくれているのです。
そして、これらのいずれかが支障をきたしてしまうと、膝に強い痛みを感じるのです(=変形性膝関節症)。